ひとり旅の行き先候補
いい季節になってきた、と思ったのは2週間くらい前。ふと、善光寺に行きたくなった。母が亡くなったあと、ひとり旅の帰りに立ち寄った。それ以来、2年ぶりになる。冬になる前に行こうと考えていた。明日は天気が良さそう。気温が上がるが30度には届かない。行くか?!行かないか?!
1週間前には、2017年に有名になってしまった曼殊沙華を見に行こうと時間を調べた。わが家から電車を2回乗り換えてさらにバスという立地。天気が良ければバスをやめて40分ほど歩くのも悪くない。そこで父に言われた。『観光バスばかりだぞ』と。そうだった。美しい自然を見に行くのに、人いきれやにぎやかなおしゃべりは要らない。自分のペースで周れる旅が、ひとり旅を選ぶ理由である。曼殊沙華はあきらめた。昨年咲いた庭の曼殊沙華が、今年は咲かなかったね。不思議だね。
そこで、善光寺である。初めて行ったのは、音楽仲間たちと御開帳の年だった。3時間以上も並び、回向柱に手をついた。なつかしいね。それから、母と。戒壇巡りをはじめて体験した。それ以来、善光寺は2回ほどひとり旅で訪れている。善光寺の魅力はたくさんある。そのひとつが、あの長い参道。山門から振り返ると参道の眺望がすばらしく、門を抜ける風がとても心地よい。
善光寺そして長野の魅力
長野には、何度も通っている。もしかしたら、一番多く通った都道府県かもしれない。若いころはスノーボードをしていたので、2週に1回は長野へ通った。美しい浅間山は眺めているだけでも気分が上がるのだが、標高2000メートルにあるスキー場が大好きだった。ひとが少なく、コースがシンプルで滑降競技のチームがよく練習に来ていた。何よりも標高が高く雪質がいい。みんなでカップ麺をもって通ったものだ。なつかしいな。
わたしの住む街から長野は行きやすい。上信越道は2車線ではあるが、渋滞のイメージが無い。だから、夏も冬もよく行った。夏は避暑に。湿気が少なくてドライブコースがたくさんあり、窓を開けて走るのが爽快だった。カンボジアでトゥクトゥクに乗ったときの気持ちよさは、長野でのドライブを思い出させた。気温はちがうけれど…。
そして、善光寺。ここはどの宗派も受け入れますというスタンスである。以前オリンピックの際に意思を表明したが、それは誇らしいものであった。建物は重要文化財になっているし、本堂に足を踏み入れると荘厳な空間がそこにある。わたしが通った幼稚園は由緒ある寺だったので、子どものころから本堂の粛とした雰囲気が好きだった。
盗難に遭ったびんずるさま、外陣・内陣、砂曼荼羅、先に書いた戒壇巡り、菊の御紋や美しい庭園、仁王像、そして楽しい仲見世通り…見どころは満載。とりわけ、ダライ・ラマ来日に際して作られた砂曼荼羅は時間を忘れて見入ってしまう。
小布施をの街をひたすら歩く
善光寺と並んで、目的地がもうひとつ。小布施。ちょうど栗が旬である。栗だけでなくマスカット畑も有名で、さらにリンゴの収穫が始まっていた。友人から耳にしていたこの地。素朴な雰囲気がとてもいいと。善光寺の御開帳のときについでに寄った街並みがどこであったのか、いまだに思い出せない。もしかしたら小布施かもしれないと思いながら…。
長野駅から長野電鉄で40分程度。成田エクスプレスの旧車体を利用していて、とても懐かしかった。朝6時20分発に乗車すると10時発のアジア行きにちょうど良く、何度も利用した。山々を眺めながらのんびり列車に揺られるのが大好き。うとうとしたり、本を読んだり。とてもよい時間。
小布施は年配者でにぎわっていた。そういうのんびりとした街なのだろう。蔵があったり、フルーツ畑があったり、栗を主とするカフェがあったり。なんとなく、倉敷の街並みを小さくしたような雰囲気だったな。わたしは集客のために作られた場所よりも、ひとが行かないような静かな場所を歩くのが好きである。日差しが強く飛ばされそうな日傘を守りながら、のんびりと歩いた。住宅の脇にある小道を思うままに歩いて行く。これが本当に楽しい。道は必ずつながっている。行き止まりなら、戻ればいい。やっぱり、旅は人生のようだと今回も思う。自分の足で歩くこと、これが人生である。
人影のない神社に立ち止まり、ドキドキしながら歩く。神社仏閣には高い木がたくさんある。だから木陰になり、薄暗い…。明るいところに出て歩いていると、栗、マスカット、りんごが見事になっている。白い袋がかぶせられたマスカットの収穫は、だいぶ進んでいるようだった。りんご農家の方が収穫をしていたので声をかけた。収穫した真っ赤なりんごと、それを入れてあるブルーのケースの色合いが美しくて。
『なんて品種ですか?全国に出回りますか?』
『あきばえ。全国に行くよ。これひとつ持っていきな。』
そう言って、傷がついているりんごを一つくれた。廃棄にされてしまうものを美味しく食べられるって、とてもうれしい。ここ数年、青森に何度か行っているので、『りんご=青森』のイメージがあった。長野も人気のりんごがたくさんあったね。
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