うれしいおもてなし
仲良しの友人宅へ遊びに行った。ご両親ともに家族ぐるみの付き合いである。わたしたちのコンサートを見に来てくれたり、母の味を持たせてくれたりありがたい関係である。3か月ほど前にお父さんがわが家の庭を手入れしてくれた。いつもは父がやっていたが、入院をしていたのでできなかった。夏の草木の成長がこれほどまでにすごいのだと、初めて認識した。わたしは虫が苦手なので、あのときは本当に助かった。
もう8年も前になるが、わたしが入院し自宅にもどったとき3人で来てくれたことがあった。あのとき、お父さんお母さんは車からは降りなかったが、温かい労わりの言葉をかけてくれたことを思い出す。母とは異なる『お母さんの愛』であった。
ご両親は父と同年代である。それぞれあちこちに痛みがあったり不安なことがでてきたりだが、誰もが通る道である。そんな中、わたしの大好物であるから揚げを用意してくれていた。から揚げは『家庭の味』が一番おいしいと思っている。以前、わが家で『持ち寄りパーティ』をしたときにお母さんが持たせてくれたものだった。それが絶品で手が止まらなかった。母のから揚げよりも好きだった、笑。前日から漬けておいてくれたという。本当にうれしいおもてなしだった。
昔ばなしはおもしろい
わたしは旅好きであり、周りもそう思っている。お母さんもかなりの旅好きだったようだ。わたしが行っていない場所へあちこち行っていた。夫を支えながら子どもを育て、歳を重ねて自分の時間ができるようになり、コツコツ貯めたお金で友だちと旅行する。母もおなじだった。それが母世代の生き方のモデルなのだろう。母はそれが楽しかったと思っていたようだ。お母さんもきっとそうだったのだろう。旅の思い出話を聞きながら、母の思いに投影をした。いまとなっては叶わないが、もう一度母と旅をしたいと思った。国内をあちこち一緒に行ったが、すべてわたしのプランだった。母が行きたいところを旅行したかった。母はどこに行きたいと言っただろうか。いままでと同じように、どこでもいいわよと言うのだろうか。
とても話題が豊富なお母さんで、旅行だけでなく世の中の話から孫の話、友だちの話、ご近所さんの話まで楽しく聞けた。なかでも楽しかったのが、お父さんお母さんの昔ばなし。結婚してから色んなことがあったのだろうが、そのなかでもお父さんの流血事件?!に笑った。お父さん、色々やらかしてるね!お父さんがあるのは、お母さんの献身があってこそなんだなぁとしみじみ思う。
それから、お母さんのお母さんの写真を見せてもらった。白黒だから、美しい着物の色が見られないのが残念。白黒の陰影からカラーにする技術があると何かで見たことがある。素晴らしい技術が生まれたものだ。そして、赤ちゃんのときと七五三のときの写真があった。かわいらしい。いつの時代も、七五三のころはかわいいね。まぁ、わたしは着物がいやでブス~っとした写真が残っているけど、笑。
子どものころの話もたくさん話してくれた。歴史に興味が無いわたしだが、それは王侯貴族や武将、政治家の話ばかりだから。市井のひとびとの話は好きで、書物をもっと読みたい。だから、一揆や隠れキリシタン、フランス革命など『強い勢力』に挑んだできごとが好き。権力の象徴を石を運んで『実際に作った』ような名もなき英雄たちの話が好きである。
故郷の話に、旅先を思う
友だちの家に行った目的のひとつが、『お父さんに包丁を研いでもらう』ことだった。母は自分で研いでいた。母が亡くなってから砥石がどこにあるか分からなくなった。もしかしたら…哀しみで冷静ではないときに整理したから、早まって処分した可能性がある。そんな話をしたら、お父さんが研いでくれるという。マメなお父さんがいるおかげで、家の包丁はいつも切れ味がいいそうだ。それにあやかった。おかげでサビが落ちて見ちがえるほど美しい刃になり、切れ味は抜群だった。しかし、鉄の包丁を二丁新聞紙に包んで電車に乗る。これが結構ドキドキした。少し前に、ちらっと柄が見えたことで警察沙汰になったというニュースがあったしね。
昔の話をしていると、必然的に故郷の話になる。わたしには、いわゆる田舎が無いから、故郷=いまの住まいである。どうにもできないけれど、故郷がある人がうらやましい。その地の良さがあり、変化があり、それも含めて『故郷』である。そのひとの基となる場所である。そこに行けば『なにか』があるのだろう。残念ながら、わたしにはその経験ができない。故郷には特有のものがある。食べものがある。独特の呼び名がある。気候があり、風土がある。だから、その地の特色ができる。わたしは、それを感じたいから旅に出るのか?お母さんの話を聞いていて、そう思った。
パスタを3日間食べる…初めはだれもが失敗した
お母さんが作ってくれた和え物は『あぶらえ』と言った。なじみのある名前は、えごま。前回お邪魔したときは『うどん』をいただいた。桶にたっぷりのうどんと茹で汁。釜揚げうどんに似ている。高松でも似たような食べ方がある。特有の食材の呼び名や調理法、食べ方を聞くのはおもしろい。『ご当地グルメ』が人気なのは、わたしと同じようなひとがたくさんいるからだろう。
結婚したばかりのころの話になった。いまでこそ『目分量』で『適当』に煮物を作れるわけだが、『パスタ』の分量がわからず、多く茹ですぎて3日間パスタを食べつづけたという。微笑ましい。兄弟姉妹が多い家庭からふたり暮らしになり、最初は戸惑ったそうだ。いまはスケールが簡単に手に入るし、本やWEBには何万のレシピがあり分量が書かれている。しかし、母たちの世代はちがったであろう。お母さんの若き20代のころの話に親近感がわいた。(いまわたしは40代ですけれど、笑)失敗しながら上達していくものだ。煮物が美味しく作れないと話したら、アドバイスをもらった。トライ&エラーは何においても有効である。
家族ぐるみの付き合いができる機会は少ないが、せっかくの縁である。つないでいきたいと思っている。わたしの訪問に有休取得をしてくれた友人に感謝。世代を越えてのつながり、とてもいいものである。母もそう思っていることだろう。母を思い出しながら、お母さんとのおしゃべりを楽しんだ。
そういえば、15歳になったわが甥、年上キラーのイメージがついてきた。あれ?血筋か?!笑。
昨年行った、飛騨高山。わたしのひとり旅の原点。また行きたくなる。
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アンテノールのケーキを手土産に。ここの焼き菓子もおいしい♪
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母の大好物だった、とらやの羊羹。思わず、お母さんにこっそりと。
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『市井の人』で思い出したのが、こちら。ひさしぶりに読んでみよう。
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秋冬は旅に出るには最高の季節。『冬』を知れば、四季の美しさにより感動できる。
コメント
こちらこそ本当にありがとう。
遊びに来てくれたおかげで両親ともさらに元気になりました❤️
また待ってるのでいつでも来てね。
たくさん書いてくれてありがと。
まとめてもらえて嬉しい☺️